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2025.12

AIは人事業務をどこまで変えられるか?KMS人事部が描く「AI×業務改善」

AI

AI活用が注目される中、人事業務においても「どこまでAIを使えるのか」を模索する動きが広がっています。一方で、具体的な活用方法を検討している段階の組織も少なくありません。
KMS人事部でも、日々の業務を振り返る中で、採用や評価、労務、研修における定型的な事務作業の負担が課題として浮かび上がってきました。
本記事では、人事業務の効率化を目指し、AI活用を検討する中で見えてきたポイントや課題、そしてAI時代の人事のあり方について紹介します。

業務を見直す中で浮かび上がった、定型作業の負担

人事部では、日々さまざまな業務を担っています。

・採用業務
・評価制度の運営
・労務業務
・各種研修の企画・運営

特に負担として感じられているのが、定型的な事務作業にかかる工数です。
たとえば「採用業務」では、応募者へのメール対応や日程調整、
「評価制度の運営」では、未提出者へのリマインド対応等が継続的かつ定形的な事務作業として発生します。

いずれも業務として欠かせない一方で、人が手作業で対応し続ける必要があるのか、見直しの余地がある業務でもあります。

最もAIが入りやすい領域=パターン化された業務

人事業務の中でも、採用はAI活用を検討しやすい領域だと考えています。応募者との面接日程の調整などは、ある程度パターン化されており、手作業による負担が積み重なりやすいからです。
こうした定型業務をAIに任せることができれば、採用担当者は候補者とのコミュニケーションや見極めといった、本来注力すべき業務に時間を使えるようになります。

また「評価制度」「労務業務」においても多くの人が関わるため、同じようなパターンのヒューマンエラーが毎回発生する典型的なパターン化された業務と言えます。

最終的な評価やフィードバックいった判断が求められる部分は人が担い、AIはリマインドやエラー検知、定型対応を支える役割に徹する。そのように役割を切り分けることで、より効率的で安定した運営が可能になるのではないかと考えています。

ゲーム開発のAI活用を人事へ─人事部で起きた失敗と改善

弊社では、自社でゲームの開発・運営も行っており、開発の現場ではすでにAIを活用した業務改善が進んでいます。
仕様書の整理やテキスト生成、確認作業の補助など、AIは「判断を任せる存在」ではなく、「作業を支える存在」として定着しつつあります。

こうした取り組みを背景に、人事部でも「同じようにAIを活用できないか」という検討が始まりました。特に採用業務では、履歴書や職務経歴書の確認、日程調整など、定型的な作業が多く、AIによる効率化の余地があると考えたためです。

「まずは試してみる」と開発現場と同様のアプローチで、応募書類の内容をAIで整理・要約する検証を進めようとしましたが、この進め方は人事業務では思うように機能しませんでした。

理由は、人事部ならではの情報の性質にあります。
応募書類には、職務経歴だけでなく氏名や連絡先など、個人を特定できる情報が多く含まれており、開発現場で行ってきたようにデータをまとめて扱う方法では、「どの情報をAIに渡すべきか」「社内ルールやセキュリティ方針と照らして問題はないか」といった点が十分に整理されていないことが明らかになったのです。

そこでAI活用そのものを急ぐのではなく、『開発現場で培ってきた“データを扱う際の考え方”』を人事業務に応用することにしました。
まず、応募者情報を項目ごとに洗い出し、AI処理が必要な情報と、人が管理すべき個人特定情報を明確に切り分けるところから着手。あわせて、検証段階から社内ルールやセキュリティ方針を確認し、安全に扱える範囲を定義したうえで、段階的に検討を進める体制へと見直しています。
結果として、開発現場と同じスピード感での導入には至っていません。
しかし、人事業務においても「AIを使う前に、データの扱い方を設計する」という視点を持ち込むことで、無理のない形でAI活用に向けた土台を整えることができました。
開発現場のやり方をそのまま当てはめるのではなく、そこで得た知見を人事の特性に合わせて活かす。
この試行錯誤は、AI活用を全社に広げていくうえでの重要な学びとなっています。

AI時代の人事のあり方

人事業務には、採用対応や評価運営、労務業務、研修準備など、時間を要する定型作業が多く存在します。正確さが求められる一方で、手作業による負担が大きい点は課題です。
弊社ではAIに判断ではなく作業を任せることで、人事担当者は候補者や社員とのコミュニケーション、フィードバック、制度設計といった本来注力すべき業務に時間を使えるようになると考えています。
現時点では検討段階ではありますが、業務効率化と人事の価値向上の両立を目指し、活用の可能性を探っています。

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